(鎮静月三部作・第一部)
2026年7月21日、上弦の月。 満ちていく途中の、半分の月。
前回、夏至からライオンズゲートへ向かう「夏のエネルギーの地図」を描いた。その流れの続きに、今、立っている。
これから三つの記事を、月とともに残していく。 上弦で、満月で、下弦で。 一つ目の、今日は──帰る、について。
上弦──光と闇が、半分ずつ
上弦の月は、円の半分が光り、半分が闇に沈む。
新月から満月へ向かう、ちょうど中間点。 世の多くは、これを「成長」「前進」「吸収」の相と読む。光を増やせ、と。
けれど、もう一度よく見てほしい。
満月は、光が闇を追い出した月。 新月は、闇が光を飲んだ月。 どちらも、一方が勝っている。
上弦だけが、光と闇を、半分ずつ抱えている。 両方が、対等に同席する夜。
満ちていく最中でも、闇を捨てていない。 光を増やしながら、闇を半分残したまま、昇る。
切り捨てない。 これが、上弦の月のかたち。
天秤座から、蠍座へ
今夜、月は動く。
天秤座から、蠍座へ。 20時34分ごろ、境界をまたぐ。
天秤座は、他者との釣り合いの座。 どう見られるか。どう応えるか。相手に合わせて、傾きを整える。
蠍座は、深みの座。 表層を手放して、隠れていたものの底へ潜る。
今夜の月は、他者の目から、自分の深部へ、移っていく。
外に出ては、疲弊する。 こもって、充電する。 その繰り返しの日々は──天秤座に、住んでいた。
そして、蠍座へ降りる夜が来る。
わたしは、いいひとをやめると決めた
優しいね。気がきくね。頼りになる。 世話好きね。困っている人を、放っておけないのね。
差し出された言葉。 差し出し続けた手。 応えるほどに、外へ、外へと引かれていった。
ある日、わたしは、いいひとをやめると決めた。
大きな出来事があったわけではない。 そう決めた。それだけ。
しばらくして、言われるようになった。 「変わっている人」と。
そのとき、うれしかった。 貼られていた言葉が、ようやく剥がれた。
寂しがりで、甘えん坊で、孤独が嫌いだった。 その人が、今、こう思っている。 ──孤独が、好き。
帰還に、瞬間はない
「あの日、帰った」と言える一日は、どこにもない。
気づき、進み、下がり、立ち止まり、転び、そして立ち上がる。 また下がる。また、進む。
振り返ったとき、そうなっている。
帰り着いたのではない。 帰りつつあった、その途中が、ずっと続いている。
上弦の月が、まだ満ちきっていないように。 帰還もまた、途中であり続ける。
外の世界は、ほとんど変わっていない。 同じ町。同じ顔。同じ言葉。
以前なら胸を貫いた言葉が、もう貫かない。
変わったのは、それを聞いている場所。
次の満月に、もう一つの綴りを残します。 ──思い出す、について。
本日の一言
「光だけを求める者は、闇に飲まれる」──カール・ユング
上弦の月は、光を増やしながらも、闇を半分残して昇る。 切り捨てない。その半分の光を、今日は。
鎮静月ラボ|氣づきの綴り

コメントを残す