ふたつの目盛りが、重なる日
十月八日。
鎮静月の、一日目。
新月へ向かう四日間の、はじまり。
同じ日に、欠けていく月の十三番目のティティ。
トラヨーダシー。
月は、休らぎの宿を通る。
月の目盛りのひとつと、鎮静月のはじまりが、一日だけ重なる。
一日目は、「静かにする」
鎮静月は、新月の三日前から、新月の日まで。
月の光が細くなり、夜が暗くなっていく四日間。
四日間の書き方は、鎮静月ジャーナルに。
一日目の動詞は、「静かにする」。
何かを足す日ではなく、音量を下げる日。
頭ではなく、体の感覚から入る。
肩の力。呼吸の深さ。足の裏。
音量を下げてはじめて、見えてくるものがある。
握りしめていたもの。
夕暮れの、プラドーシャ
十三番目のティティの夕暮れを、プラドーシャと呼ぶ。
「闇の手前」という意味の言葉。
日が沈む前後の、ひととき。
インドでは、シヴァ神に祈る時間。
先生はこの時を、執着を手放し、深い静けさに入る時として話していた。
手放す前に、見える
握っているあいだ、握っているものは見えない。
手をひらくと、はじめて、かたちが見える。
手放す前に、まず、見える。
手放しは、そのあと。
手放すのは、鎮静月の三日目。
一日目は、握っていたと気づくところまで。
夕暮れの、数十分
日が沈む前後の、数十分。
小さな灯りを、ひとつ。
握っていたものを思い浮かべ、息と一緒に、手をひらく。
ただ、気づく。
手のひらから、何が離れていくか。
離れたあとに、何が残るか。
新月まで、あと三日
十一日の未明に、新月。
静かにする。熟成させる。紡ぐ。織る。
四つの動詞の、ひとつ目。
今日は、その入口。
夕暮れに、手をひらく。
参考資料▶ 森井啓二|誰も知らない「月の神秘」

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